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2023年12月3日募集時価と本来価値
いつも何かとありがとうございます。賃貸アパートを借りる際に、一番気になるのが家賃ではないでしょうか。毎月のことですから当然ですよね。この家賃がどのようにして決まっているのかについては少し前のブログでふれさせていただきましたが、端的に言うと、借りたいという「需要」と、貸したいという「供給」の最大公約数で決められています。つまりはそれが相場ということになるのですが、では、一定の期間を経て、将来この物件の一室に空きが出た際の家賃はどのようにして決まるのでしょうか。一般的には新築時に設定した家賃をそのまま踏襲していることが多いようです。需給のバランスで家賃は決まっていると書きましたが、ここにはその原理が反映されていないのが業界の実情なんですね。 本来、需給のバランスというのはその時々で当然異なるものです。その時に、近傍同種の物件に空きが1室もなければその部屋は格段に競争力を持ちますが、反対に、周辺に同等の物件がいくつも存在すると、たちまちその競争に巻き込まれてしまい、設備等をアップグレードしてスペックで差別化を図るか、あるいは家賃を下げて価格競争で優位に立たなくてはならなくなります。このように、本来お部屋の募集時価は、募集時ごとに周辺の市況を鑑みて精査し、その都度決めていくことが望ましいと私は考えています。では、どうしてそれがほとんど行われていないのかというと、それは、その物件の本来価値を考えた時にその家賃差の妥当性を見出せていないからです。マンションやハイツといった共同住宅では、一棟に複数の同タイプの住戸があります。立地も築年数も、間取りも設備も全く同等のものですから、お隣の家賃を聞きつけた入居者様は、当然、なぜうちの部屋は高いの?となることが容易に想像できます。その時にもっともな説明が出来ないんですね。分譲マンションでは同じタイプの住戸でも、購入の時期によってはその価格に差があります。それは、先ほどの市場原理に基づいてその都度価格査定が行われているからで、その時、希少価値があれば価格は高くなりますし、市場に在庫がダブついていると下落します。購入なら自己責任と諦めもつくのでしょうが、賃貸では貸主という「言っていく先」が存在するため、棟内で不平等、不均衡などが生じると、それは容易く大きなハレーションとなってしまう傾向があり、それを敬遠する貸主心理が市場の原理の妨げとなっているように思います。そもそもは、契約自由の原則がありますので、同じマンションでも募集時その時々で需給バランスから最適な最大公約数(家賃)をその都度見極めて募集条件を決めることが、不動産の、こと賃貸の家賃相場を健全化することにつながっていきますので、私たちは募集条件の精査に多くの時間を充てています。 不動産は価値が流動するものです。とくに賃貸不動産は収益が目的ですので、本来価値だけに捉われるのではなく、大きく影響を受ける経済循環要因の中でも、その生産性を最大化することが私たちのミッションだと考えております。 何か私たちでお役に立つことがあれば、お手伝いさせてください。
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2023年10月8日物価と家賃相場
いつもありがとうございます。建築費の高騰が止まりません。物価の上昇は不動産の周辺でも様々な影響を与えています。例えば家賃相場のメカニズムがあります。本来、賃貸条件とは、「貸したいという供給」と「借りたいという需要」の最大公約数が、家賃や礼金といった諸条件になるものです。この立地でこの間取り、この築年数ならば、家賃はいくらまでなら払ってもいいという借り手の許容上限。同じく、この立地でこの間取り、この築年数ならば、家賃はいくら以上は欲しいという貸し手の許容下限。貸し手と借り手では利益が相反するものですから、私たち賃貸不動産会社はその調整を図って家賃を設定しています。これは本来あるべき市場の理論です。ところが近年は色々なものの価格高騰により、特に建築の領域では、資材の高騰に加えて、キッチン、浴室、エアコン、給湯器といった設備なども高くなっていますので、アパートやマンションを建築する際の費用もどんどん上昇しています。 アパート経営は「事業」ですから収益性を重視します。投じる費用が高くなると当然利回りは下がります。建築会社がそれでも売るためには利回りを良くしなければなりませんので、最近の新築では先ほどの市場原理に反し、建築費(コスト)からオーナーの求める利回り(欲しい収益)を割り戻して家賃を決めることが増えています。そうすると、家賃は当然相場から高ぶれしてしまいますので、新築のプレミアムやどうしてもこの場所でなければならない、この間取りがいいといった、割高と分かっていても購入する極めてニッチな層のお客様を除いては、どれだけ物件が良くても入居希望は低調となります。そのこともあり、ここ数年は新築が満室で竣工することがほとんどなくなりました。入居者がいないとそもそも家賃が入ってきませんから、結果としてオーナーは想定した収入を得ることができなくなってしまっています。そんな現象が各処で見られます。当社の社是は三方善し。自分と相手さえ良ければいいという考え方で市場に物件を投入すると、結果的に相場も崩すことになります。それどころか、目先の利益だけを優先すると、三方善どころか二方善にすらならず、請負を受注した建築会社だけが得をする一方向の利己的な仕事になってしまいます。だからせめて、私たちは自分たちが関わった物件では三方善の社是の下、二十年、三十年先の三方の未来を考えて正しいアドバイスを心がけています。何か私たちでお役に立つことがあれば、お手伝いさせてください。

